- 2012/08/30
- 風呂敷の知識
【ひ】ひらづつみ ~風呂敷用語~
みなさま、こんにちは。
京都の風呂敷製造・卸、山田繊維㈱本社営業の渡辺です。
今回の風呂敷用語は、『ひらづつみ』です。
<ひらづつみ>とは元禄(1690年)以前の<ふろしき>の名でありました。
さて、今回は町かどの芸能 ひらづつみうりのお話をさせていただきます。
「ひらづつみはいらんかな。大きいのに小さいの、いろいろもちましたぞな。落し物は災難の
はじまり。さ、そんな災難のないようにひらづつみをご用意なさらんかー」
松飾りがとれたら寒の入りだが、そのころから生活(くらし)にも活気がよみがえってくる。
商人(あきんど)はよく知っていて、ちゃんと時機(とき)をはずさず町中へ現れてくる。
どこへいくにもこのひらづつみ一枚はふところにして表へおいでなされ。そりゃ重宝するぞな。
さ、ちょいとみておくれ。ひらづつみはこのようなものじゃ。お届けものや、頂き物をちょいちょいと
包んで、四隅を結べば片手にさげて歩けるぞ。荷物が大きけりゃ、ほれこのように包んで背(せな)に
せおうて、首にまわして結べばこの通り等、手際のよいひらづつみの扱いに、
集まった人がきはひきつけられて、おどけてみせるそのふりに声をあげて笑うのである。
こうして人気をとったこのひらづつみ、江戸初期(1610年)からの行商の隆盛と共に、呉服屋、薬売り
小間物売りや貸本屋など紺地に白で屋号(やごう)を染めぬいた大ひらづつみとなり、宣伝にも使われていたのです。
さて、このような便利な『ひらづつみ』もっともっと活用してみてはいかが~ですか!
これからも風呂敷に関する『特種』な用語をお知らせしていきますので宜しくお願い致します。
京都の風呂敷メーカー山田繊維㈱本社営業の渡辺でした。